CLASSY HOUSE STYLE Vol.4:暮らしを照らす“やわらかな彫刻”?AKARI?

光の彫刻家 イサム・ノグチ

彫刻家・画家・作庭家・インテリアデザイナー・プロダクトデザイナーなど多彩な顔を持つ世界的芸術家、イサム・ノグチ。彼の活動を振り返りつつ、誕生から60年を経てなお愛される照明の銘品“AKARI”誕生のきっかけと、独創的な制作風景をご紹介します。

みずから削り出したAKARIの型には、イサム・ノグチの魂が宿っている。

岐阜提灯にインスピレーションを得て制作

イサム・ノグチがAKARIの制作に取り組み始めたのは、1951年。仕事で広島へ赴く途中に岐阜の鵜飼見物に立ち寄り、伝統工芸「岐阜提灯」に出合ったことがきっかけでした。

美濃和紙の味わい深い質感と柔軟な竹ヒゴは、創造衝動を駆り立てるにはもってこいの素材でした。それまで制作していた照明を使う彫刻作品「ルナー彫刻」の、次の可能性を見出したのかもしれません。

本人が「明かりと言う言葉は、文字どおり “太陽の光や月の光を部屋に入れよう”という意味。あまりにも生活が近代化し機械化した現代人にとって、自然光に近い照明は憧れに近いものがあり、和紙を透かしてくる明かりはほどよく光を分散させ部屋全体に柔らかい光を流してくれる」と遺したように、AKARIとは、まさに障子紙をとおした陽光のイメージなのです。

家庭で点灯した瞬間が「完成」の作品

「発想も新しければ、創作手法も斬新でした。イサム先生は工場の片隅に座り込んで、当時珍しかった発泡スチロールで原型を作ったそうです。発泡スチロールの削り粉にまみれながら、その作業は毎晩遅くまで続いたといいます」

伝説的な制作風景を解説するのは、岐阜提灯の大手メーカーでありAKARIを製造販売する株式会社オゼキ東京営業所の鳥海伸吾さん。

デザインが決まると、原型をもとに作った木製の素型にイサム・ノグチ自ら竹ヒゴを巻き、一段ずつ間隔や角度を微調整。理想の形になるまで、幾度も修正を重ねていきました。

そんなAKARIは、今でもひとつひとつの工程が繊細な手作業。オゼキに伝わる専用張型をベースに熟練の技で形作られ、国内外のファンのもとへ。点灯の瞬間「いかなる世界も光で満たす」作品として完成するのです。

イメージ

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イサム・ノグチ(1904-88)

ロサンゼルス生まれで幼少期を日本で過ごす。22歳でパリを訪れ、ブランクージに師事したことから彫刻家の道を歩む。その後、特異な才能のある日系アメリカ人彫刻家として世界的に認められ、アメリカやイスラエルなどで彫刻庭園を製作したり舞台芸術分野などでも活躍。和紙と竹ヒゴを利用したAKARI照明シリーズは「Lighting Sculpture・光の彫刻」と呼ばれ、世界にファンを持つ。

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