CLASSY HOUSE STYLE vol.5:食卓に伝えゆく 美しいかたち ?銀器?

上質なカトラリーがいつもの食卓を変える

銀器とは、食卓で普段使いできる唯一の貴金属。独特の光沢となめらかな手触りが、ご家族のお食事風景を華やかに彩ります。いつもの暮らしをワンランクアップする、銀器の歴史や銀の科学的に証明された効用を、上田銀器工芸(株)の上田耕造さんにうかがいました。

王侯貴族から庶民にまで愛された銀器

人類史上最も古い貴金属である銀。中世ヨーロッパの王侯貴族はこぞってその高級感に魅せられ、豪奢なデザインの銀器が一世を風靡しました。当時まだ銀の産出量はきわめて少なく、金よりも値打ちがあったそうです。

さらに時代は下り、ホームパーティーの文化を持つ欧米の上流・中流階級の一般家庭に広まった銀器は、100年後、150年後まで子々孫々の手でたんねんに磨きをかけられ、活躍し続けています。

「銀のスプーンをくわえて生まれてきた子は幸せになる」というイギリスの言い伝えをご存じの方も多いと思いますが、これぞ銀の価値をもっとも端的に表すものでしょう。加えて人々は長い歴史の中で、抗菌力を持つ銀が赤ちゃんに最適な素材であると経験的に知っていたのではないでしょうか。

上田銀器工芸のナイフとフォーク
上田銀器工芸のティースプーン

使い込み磨き上げてこその価値

たとえば銀の花瓶に飾った花は通常より持ちがよく、ヨーロッパのとある国では「コップの水に銀のスプーンをさしておけば、水がおいしくなる」と言われるほど。これらはすべて銀や、昨今話題の銀イオンの抗菌・浄化作用にほかなりません。

銀は呼吸する金属で、放っておくと空気中の硫黄化合物や酸素と反応して黒く変色してしまうため、お手入れが欠かせません。しかし変色はしてもけっして変質することはない。磨けばすぐに元の輝きを取り戻し、年月とともにその輝きは深みを増していきます。

使い込み磨き上げながら永く食卓に伝えゆく銀器は、日々の暮らしを大切にする方にこそおすすめしたい財産であり、毎日お使いいただける上質な実用品なのです。

上田 耕造(うえだ こうぞう)さん プロフィール

上田銀器工芸(株)代表取締役 通商産業大臣指定伝統工芸士
鍛金(たんきん)師であった先代・上田新次郎氏に、15歳より師事。昭和50年(1975年)に上田銀器工芸(株)を設立し、銀のカトラリーをはじめさまざまな銀器製作を手掛ける。皇室や宮内庁の銀食器を製作するなど、国内外に高い評価を受ける。平成12年に黄綬褒章授章。

※掲載されている内容は2012年10月時点のものです。

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