第三話インドといえば、住商よ
総合商社としてグローバルに様々な事業を手掛けている住友商事は、マンション分譲事業においてもまた、世界へと目を向けています。中国・上海への進出を皮切りに、2016年には日本企業として初めてインドでのマンション開発事業に着手。近年経済成長著しいインドでは、都市部に暮らすアッパーミドル層が急増しており、マンションの需要が高まっているのだそうです。インドは不動産に関する法整備が不十分で住宅事業の新規参入が難しいと言われていますが、1960年代から製造などの分野でインド進出を果たしていた住友商事には、長年蓄積された幅広い知見とネットワークがありました。インドでの事業スタートから約1年、現地に駐在しプロジェクトを進めている萩野さんにお話をお聞きしました。
現在のインドの住宅供給は、その9割以上が国内デベロッパーによるものだといいます。しかし使い勝手や品質という点では未だ発展途上で、日本では当たり前の基準が満たされていないことも多々あるのだとか。住友商事は、それこそがチャンスと捉えます。日本で培った確かな品質とノウハウを生かしながら、インドならではのニーズを汲み上げたサービスで業界に新風を吹かせようとしているのです。現在進んでいるプロジェクトの舞台は、多くの日系企業が拠点を置き、近年急速に発展しているハリヤナ州グルグラム。この都市のアッパーミドル層に向けて、26万m²、5,000戸超の大規模マンションを開発中。日本でも人気の内装色や間取りが選べるオプションプランの導入も予定されています。インドのマンションは、選択肢のない内装済みか個人でフルオーダーする2択がスタンダードなため、セミオーダー的要素のあるオプションプランはこだわりを持ちたいアッパーミドル層の潜在ニーズに応える魅力を備えています。こうした総合力を生かして未知の分野を切り拓くのは、住友商事が日本のマンション事業でも実現してきたこと。同社はインドにおいても業界のゲームチェンジャーとなりそうです。
本プロジェクトのインドオフィスで働くスタッフは、萩野さんを含む日本人2名を入れて約30人。萩野さんは、駐在以前からインド事業の担当として何十回と現地に赴き、ひたすら市場調査に取り組んできたといいます。現在も現地の人々への細やかなヒアリングや分析を重ね、単なる日本流のコピーとは違う、インドでしかつくれない価値ある住まいを追求しています。インドでのプロジェクトは全8期のうちまだ第1期が始まったばかりですが、萩野さんの目は、早くもこのプロジェクトで培ったものを次にどう生かすかというフェーズへと向けられています。日本の都市部でも近年は海外企業の進出が急増していますが、そこで働く人々の受け皿となるような住まいの開発に、新たな可能性を感じているのだとか。『日本生まれの海外育ち』そんな住まいが都内で当たり前になる日も近いのかもしれません。その広い視野は、住友商事ならではの大きな魅力となっていくでしょう。